第21章 まちづくりへの興味
98年街おこしを目的とした有限会社まちづくりカンパニーの代表取締役に就任します。
ここで少し街おこし会社のお話をしたいと思います。
前記会議所の会長や様々な役職を受ける中で、時代のトレンドと言うか、街おこし、街づくりのキーワードが流行った訳です。私も行政・団体系から金融・保険関連まで多くのまちづくりの座長を担っていました。
理想的な意見からとてもユニークなものまで貴重なアイデアがどの集まりでも出ました。しかしそのすべてが机上のアイデアであり、この会議を何万回繰り返しても町は変わりません。丁度そうした疑念に悩んでいた時、有限会社でまちづくりの会社設立を提案してきた友人がいました。社長就任にはいささか躊躇はありましたが、机上の空論に聊か嫌気がしていたので、引き受けることとしました。
先ずはこれまでの会議出席者から30名ほどを選出し、1株5万円でメンバー募集を開始しました。NPO団体として無理なく立ち上げることは可能でしたが、あえてキリストの踏み絵のごとく、5万円の株を有することを条件にしたのです。するとこれまで熱く街おこしについて語っていた人々が次々に居なくなりました。正に踏み絵作戦は大成功でした。
最終的に8名が残り、800万円で有限会社としてスタートしたわけです。
このメンバーは1級建築士、マーケター、店舗造作会社社長、不動産会社勤務、公認会計士、そして私広告会社等それぞれが得意な分野が多岐にわたり、資格や免許を持っていましたので空き店舗の活用等では無類の成果を発揮しました。
蔵を活用した和菓子屋の開店支援から街全体の顧客満足度調査や毎年夏のジャズのコンサート実施等多くの事業を立ち上げ20年の歳月を経て2018年に解散しました。
本来街づくり会社など必要としない街が最も理想的な事ですので、現在街の方々が後を引き継ぎ毎年ジャズのコンサートを開催していることは、まさに設立当初の私の目的通り「自分の街は自分で輝かせる」を実現していることに喜びを覚えるのです。
あの時身銭を投じて参加されたメンバーは今でも交流が続く大切な仲間です。
