第6章 ヘレナビデオリサーチ誕生
1977年、毎月生徒の月謝収入のみで成り立つ会社なので、別の収入源を考えようとの意見がでました。
営業マン上がりの社長が、日本でテープに絵と音が収まる機械が出たらしい・・これからは映像の時代だと言い出しました。
早速業界の2大両雄のソニーと松下電器(現パナソニック)のそれぞれ 2 社のベータ方式と VHS 方式のどっちにするか検討する為、両者を会社に来てもらい、結果ソニーのベータ方式を採用して全国で初めてだったと思いますけど英語の教材を作ることにしました。
私は突然社長からの命令で、英会話の生徒募集を後任に任せビデオ教材制作を担当することとなりました。
社長のアイデアは先見の明があり面白かったのですが、残念なことに市場調査を全くしていませんでした。無論他の社員たちもマーケティングのことなど知る由もありません。
ビデオだけで100万円位しましたので企業経営者や士業といった高額所得者ぐらいしか持っていませんでした、
普及率が1%にも満たない時に英語の教材が売れるはずもなく、ソニーの代理店になり1978年にソニーショップを開店します。ソニーショップというと聞こえが良いですが要は街の電気屋としてビデオの普及が進むまで耐えしのぐ為の方策です。
その年言い出しっぺの社長が突然亡くなりました。
物販の販売など全く分からず、それを指揮する責任者も失い途方にくれました。
更に英会話教室の様な教育施設では電気機器の販売は世間体が悪いとのことで、ヘレナビデオリサーチの名称で新たな電気機器の販売会社が作られました。
当初はVTRの販売普及が目的でしたが、思うような成果が出ず、教えを乞う先輩もなく、
なりふり構わず売れるものは何でも扱って食い繋ぎました。
高所恐怖症の私ですが屋根に上ってのテレビアンテナ付けやドリルで壁を空けてのエアコン工事までお金になることは何でも引き受けました。頭脳労働とはかけ離れた正に自分が一番避けていた肉体労働を地で行く仕事でした。
しかし体を使って報酬を勝ち取る労働は成果がはっきりしていて成し遂げた時の達成感もあり、つらい時もありましたが充実した毎日でした。
お袋の勧めで運送配達の仕事を経験したことはこの時期にどれほどか役にたった事か・・・
今ではとても感謝しています。
お問い合わせ
ご相談・御見積は無料です。お気軽にお問い合わせください。