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第17章 ネットビジネスへの移行

さて身も心も大分回復した頃に日本にインターネットが上陸しました。

これまでテレビに代表される映像が最強の媒体と信じて疑わなかった自分でしたが、隣町でウェブサイトを作成した方がいると聞き、早速調べてみました。まだ1ページの写真が出てくるのに5~10分近くかかっていましたが、これからはテレビを超えてネットコンテンツの時代が到来するだろうと瞬時に感じました。

会社の映像部門の売り上げの柱であった、婚礼撮影の権利をこの機に全て同業者に無償で譲り

ホームページ制作に人員を投入することとしました。

早速A社の一台250万程のパソコンを思い切ってローンで4台購入しました。

今の数万円程度のスマホに比べても比較にならないほどの低スペックで1日に何度もダウンしました。

恐らく今でも4~5分おきにデータを保存する癖のある人たちは、この時代にパソコンを使用していた方たちではないでしょうか。私もいまだにその癖が抜けません。

減少傾向にあったとはいえブライダルの撮影事業はまだまだ大きな売り上げでしたから当然

回りの映像事業者からは、井上社長は気がふれた・・とのうわさが流れたと耳にしました 笑

ある日愛車の軽バンでガソリンを入れにスタンドに行くと、無償でブライダルの撮影権を譲渡した同業者に出くわしました。

彼は婚礼撮影の売上で羽振りが良くなりドイツの高級車を購入した様です。

私の軽バンを見て、誇らしげな笑みを浮かべる彼に正直ムッとしましたが、その場は英顔で別れました。その数年後に彼の会社はなくなっていました。

儲けた資金を次のビジネスへの投資に使えばよかったものを、自身の趣向品に散在していたのでしょう。  残念です。

茨城県庁の方々と一緒に県内のインターネット網を整備する事業を手伝だったり、各経済団体で講演会を開いてインターネットビジネスの重要性を説いて回りました。

ビデオのソフト作りたくてビデオデッキを売って回り、今度はホームページ制作を手掛けたくてインターネット網の普及に手を貸したわけです。

遣りたい事があるのなら、時期が来るのを待つのではなく、自らが作ればよいという考えは一貫した心情です。この頃茨城のアナウンサーや、シナリオライター、イラストレーター、デザイナーは給料がとても安く立場も弱いことを知らされます。そこで茨城のフリーの収入をアップと地位向上を目的に茨城クリエイターバンクを設立したのはこの時期でした。